ユルいのヨシアシ 

エーラスダンロスやら発達障がいやら絵やら

発達障がい 4月にしてきたこと

特別支援学校に通うてんさん。「特支」というと、プロフェッショナルばかりでお任せしとけば大丈夫!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、人格を育てる大事な時期に他人に任せっきりにして大丈夫なんて、そんな訳ありません。ましてや発達障がいの症状や必要な対応には個人差があるし、そもそも発達障がい自体は特別支援学校入学の対象ではないし。

入学そのものに関する話はまた必要な時期にするとして、とりあえず今回は4月に学校と話し合ってきたことをまとめてみました。

 

f:id:tenthousand:20210406012545j:plain

【発達障がいは、その表出の仕方に個人差が大きくあります。このブログに書いてあることは、あくまで私と息子・てんの経験したことです】

 

《入学式・始業式前に》

●入学式や始業式に参加するのか

●クラス、担任発表について

●翌日からの荷物について

 

○入学式や始業式に参加するのか

特に小学部の入学式は親としては参加させてあげたいところ。ただ、てんさんは広くて音が響く体育館やそもそも式典は苦手。そこで、「参加させてあげたい」のはなんでだろう?と考えました。

私が持っていたイメージは、時折私の方を見たりして緊張しながらも嬉しそうにしているてんさん。服は白いシャツに紺色のズボンで、髪はちょっとだけセットして……いやいや待て待て、無理に決まってるわ、そもそもてんは式典は苦手でしょう。

じゃあ、なんで参加させてあげたいんだろう?思い出のため?いや悲惨な思い出にしかならんだろう。

式典を経験させてあげたい?てんにしてみたら拷問を受けるも同然の経験だな。

じゃあ、なんで?

…そうか、私が見たいんだ、緊張しながらも嬉しそうに参加する息子を。小学校入学は人生で一回だけ。親としては見て感動したい、自分を誉めたい、その他もろもろ。

てんは学校に行く必要は理解している。学校に行きたいとも思っている。ならば、入学式ごときで挫けさせるのは親としてやってはいけない……と、判断しました。

そこで学校には、「いろんな思いはありますが、息子の学校生活をすんなり始める第一歩として入学式には参加せず、出来れば教室待機をしたい」とお願いしました。当時は発達障がいへの理解は今以上になく、担任の先生には母の思いは理解していただけなかったけど、校長先生と教頭先生は一定の理解をしてくださり無事に教室待機が実現。全体の式が終わったあとに校長先生、教頭先生、学部主事の先生が教室にきてミニ入学式をしてくださいました。「入学おめでとう」と書かれた黒板の前で記念撮影もでき、とてもよい思い出になりました。

学年が上がるにつれて成長したり周りに興味が出てきたり、他者視点を覚えたり、なにより学校や先生方に安心感を持つようになってからは、式典にも参加出来るようになってきました。

初めは体育館の入口に立って、次は入口付近に置いた椅子に座って、体育館の一番後ろの席で、クラスの一番後ろの席で慣れた先生と一緒に……段々と、少しずつ。毎年毎年、先生と話し合ってきました。今では白いシャツに紺色のズボンでネクタイまでして参加できます。もちろん他の生徒に混じって。待つって大切だなぁと心底思います。

 

○クラス、担任の発表について

いつもと流れが違うと不安になるてんさんはただでさえ’‘’新‘’学年で不安な訳ですから、クラスや担任の発表イベントは苦痛そのもの。そこで、「内容を事前に聞くのは【合理的配慮】を越えていると判断しているので、発表の時間は別の部屋か廊下で待機しておき、みんなに発表したあとにサッと聞いて合流というのが理想です」とお伝えする。

「合理的配慮を越えていると判断している」という一言は面倒でも毎回使うべきだなぁと実感しています。こう言うことによって、学校運営に協力的だと伝わるし、なんでもかんでも思いどおりになるとは思っていない、つまり、ここは押さえてほしい!という点が強調されやすくなるので、後々の交渉が有利に運びます。

この発表イベントはいまだに苦手なようで、今年も教室で待機かな。もう高校生なので自分で言わせるようにしていますが、実は内緒で前もって主事や教頭先生には本人がキチンと言える環境をつくる対応をお願いしています。

○翌日からの荷物について

置き勉が可能な学校や学年もあるでしょうが、不可の場合は対応を話し合います。

「荷物が重いことが精神的に負担になる」のがメインならば甘えさせてはいけないという考え方もありでしょうが、基底に発達障がいがあって、しかも学校に行く意義を理解できていないならば、行きたくもない場所に重いものを持って通うのは苦痛で、学校そのものが嫌になりかねない、ということで、【合理的配慮】として置き勉を許可していただきました。

学年が上がって家庭での勉強に教科書が必要だとてんさん自身が感じるようになってからは必要なものについては持ち運ぶようになりました、が、すぐに肩に内出血やら肉割れが生じたので、以降は家用にもう一組、教科書を購入するようにしています。うちは主人と私のこだわりで義務教育時代から自腹ですが、いろんな制度があるかもしれないので、調べてみるとよいかも。

 

《学期が始まってから》

●個別支援計画

●苦手について

●体調管理

 

○特支や支援級には個別支援計画というのがあって、本人の現状や将来の希望などに添って短期、長期の目標を立てていきます。

これはめちゃくちゃ大事。学校というのは行政機関の一部なので、入れた書類以上のことは基本的にできません。こちらにしても、「お願いしてない事を勝手にされて崩された」なんて事態には発展させたくないので、最初の段階で本人と詰めて、家族内で詰めて、練りに練ったものを学校に入れて学校とさらに詰めて決定する、そして必要が生じたらすぐに改訂することが大事です。 

困難を抱えている小学校低学年の時に将来と言われても想像しようがないでしょうが、そこは冷静に、なりたい自分、なってほしい我が子を、現実的な見方も忘れずに詰めていく。困りを見つめ、厳しい現実的な将来を突きつけられるなかなかツライ作業ですが、ここを頑張るのが障がいがある子を育てるのに大事な部分だと思って頑張りました。

 

○苦手について

苦手をどうしたいのか。個別支援計画を立てたら、具体的に実施の仕方を決めていきます。すぐに出来るように教えて(または治して)いくならば、その具体的な方法や関わりかたを【合理的配慮】の中でやっていただけるようにお願いします。もちろん、保護者側も一緒に頑張ります。

子どもが学校で先生から教育的に接されたことを保護者に愚痴る時に子どもの気持ちを受け止めることは大事ですが、子どもと一緒に学校の悪口を言うのはマズイです。これをやると、せっかく立てた個別支援計画も上手くいきません。親が悪く言う人と仲良くしようなんて子どもはあまりいませんから。

内容によっては学校と話し合う必要がありますが、これも早めに。連絡ノートをこちらで作って渡すなどしとくと変化に気づきやすいです。

 

○体調管理

朝起きるために、どう過ごすか。義務教育中なら朝起きられないという理由での遅刻にも対応してくれますが、本当にそれでいいのか。もしくは、今はそれでヨシとするのか。

高校であればそうはいきません。本人が起きれないなら保護者に起こす責任があります。特支だってそれは同じ。障がい種や程度よっては認められますが、単位制の普通科であれば卒業したり卒業できずに困るのは本人なので、しっかりと体調管理の大切さを教えて行こうと思い頑張っています。

 

てんさんは体育授業にも配慮が必要だったので、医師の診断書と共にお願いをビッチリ書いた紙をお渡ししていました。

いずれにしても大切なのは、学校は仲間であって敵ではない、と認識することではないかと思います。我が子を育てる壮大な計画のチームの、かなり多くの時間を一緒に過ごす大切な仲間です。計画を進めるために、仲間を敵にしないために、よく話し合って信頼しあって、相乗効果で力を増し増しにするのです。

 

今年も頑張るよ~、でも、てんハハちょっと疲れ気味だから学校に頑張ってもらおう~。